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SOXAI RINGが指から呼吸数を計測する方法

SOXAI RINGが指から呼吸数を計測する方法

この記事はSOXAIアプリの機能についての概要を提供するものであり、専門的な内容やガイドラインを提供するものではありません。したがって、正式な参考文献やガイドとして使用できるものではありませんので、詳細な情報や専門的なアドバイスについては、関連する専門書や専門家にご相談ください。

 ※説明に使用している画像はイメージです。実際の画面と異なることがございます。

 

1. はじめに

 

SOXAI RINGは、光電式容積脈波(PPG)センサーを使って、呼吸数を計測することがすることができます。 この記事では、この機能の仕組みと計算方法について説明します。

呼吸数は、人の胸の上下をカウントすることで直接測定することも、心臓の活動など体内の別の信号から読み取ることで間接的に測定することもできますが、 広く使用されている方法は、心拍数の変動から呼吸を導き出す方法です。

 

2. 仕組み

 

SOXAI RINGは、夜間の光電式容積脈波(PPG)信号を使用して呼吸数を計測します。これは、睡眠ページに表示されている、安静時心拍数や心拍変動を測定する際に利用されているのと同じPPG信号です。

夜間は体が安定した状態にあるため、呼吸数の測定に最適な時間です。日中はカフェイン、感情、運動など、呼吸数に影響を与える要因が多い上に、自分が呼吸数を計っていることを意識すると呼吸数が増えることが知られています。

心拍で呼吸を測ることができるのは、心臓と肺の間に密接な関係があるためで、この関係は次のように説明できます:

・息を吸うとき、心拍数が上昇します。
・息を吐くとき、心拍数が減少します。 

この関係により、少ない心拍数で効率よく酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出することが可能です。この予測可能な一定のパターンがあるために、心拍の変動を観察することで呼吸数を決定することができます。

 

3. 計算方法

 

SOXAI RINGは、PPG信号を利用して、息を吸うと心拍数が上昇し、吐くと減少するという一定のパターンを検出します。 心拍の連続する波形を周波数領域で分析することによって、あなたの呼吸パターンを特定し、それに基づいて呼吸数を計算します。

これは、具体的には、おおよそ次のようなプロセスで行われています。

1. 各心拍周期(心拍)ごとに、心筋は脱分極を経て再分極します。

この電気信号は心拍の結果として生成され、これがいくつかの周期を示す典型的な心電図(ECG)の信号で見ることができるものです:

 

ecg-wave

 

心臓の拍動メカニズム

 

心臓の筋肉は、血液を全身に送るために、収縮と弛緩(休むこと)を繰り返しています。心臓の右心房には電気信号を出して、心臓の動きをコントロールする機能があり、この部分で発生する電気信号が心筋細胞に伝わると、その結果として心筋細胞が収縮し、その後弛緩します。この一連の流れが心臓の1回の拍動です。 この拍動のたびに、次の2つのプロセスが繰り返されます。

1. 脱分極: 通常、細胞内は常にマイナスに帯電していますが、心臓が拍動する際、心筋細胞は電気信号によって刺激され、電気的な変化が生まれプラスに帯電します。 この電気的な変化を脱分極と呼び、この時に心臓の収縮が始まります。

2. 再分極: 心臓の収縮が終わり、次の拍動に備える際、細胞は再びマイナスに帯電した状態に戻ります。この電気的な変化を再分極と呼びます。

心筋細胞は、この脱分極と再分極のサイクルを繰り返し、細胞内の電位を変化させながら、収縮と弛緩を繰り返します。

cardiac-depolarization-repolarization


2. 心臓が拍動する度に、動脈を通じて血流が脈を打ちます。この時、SOXAI RINGが装着されている指の動脈も同様に脈を打ちます。

PPGセンサーは皮膚に光を当てることで、この動きを検出することができます。循環系を流れる脈拍が変化すると、反射して戻ってくる光の量も変化するため、心臓の拍動を検出することができます。この方法は光電式容積脈波(PPG)法と呼ばれています。

SOXAI RINGは複数の波長の光を用いてPPG信号を検出します。特に赤外光はより深く浸透するため、指動脈に限りなく近い位置で測定することができます。

ppg-wave

 

3. このPPGデータから、心拍数が速くなるタイミング(息を吸う時)や遅くなるタイミング(息を吐く時)を特定することができます。

具体的には、心拍数は心拍間隔(IBI)から計算することができます。心拍の周波数領域のパターンを分析した後、呼吸数(1分間に心拍数が速くなったり遅くなったりする回数)を抽出することができます。

 

▼実際のSOXAIリングで取得されたPPG信号とそのピークのイメージです。
ピークは心拍を示し、隣接する赤い点間の距離がIBIを表します。
ppg-signal

 

▼上記から算出された心拍数です。

hr-chart

 

▼データを周波数領域に変換すると、通常の人間の範囲内の最高周波数を抽出し、呼吸数を特定することができます。
(下記の事例の場合、呼吸回数は15.23BPMです)
respiratory-rate

 

4. SOXAI RINGで計測される呼吸数の正確性

 

下記の図は、夜間の6時間の睡眠においてSOXAIリング(PPG)と心電図(ECG)によって測定された呼吸数の比較で、1分あたり1呼吸以内の精度であることが示されています。

respiratory-rate-accuracy

ECGは、心臓の電気活動を測定する医療検査です。呼吸の測定には通常、侵襲的な方法が必要ですが、ECGから呼吸数を推定する方法は確立されており、医療現場の研究でよく使われ、信頼性が高いとされています。SOXAI RINGはECGと同等の性能を有しており、一般的なユーザーが夜間の平均呼吸数を測定するのに有効なツールです。

 

5. SOXAIアプリでの表示

 

SOXAIアプリに表示される呼吸数は、前夜の1分間あたりの平均呼吸数を示しています。 呼吸数は、睡眠タブ>睡眠時の呼吸コンポーネントに表示されます。

respiratory-rate-app

 

6. 呼吸数を解釈する方法

 

健康な成人の安静時の典型的な呼吸速度は、1分間に12~20回です。また、夜ごとの日次変動は、かなり小さい傾向があります(1分あたり1〜2回以内)。これは、安静時に必要な酸素量が一定である可能性が高いためで、呼吸数は非常に安定した指標となります。呼吸数が平均値から1分間に2回以上ずれている場合は、注意が必要な状態であることのサインかもしれません。

呼吸速度は個人差が大きい指標なので、他の人のデータとは比較しないようにしてください。必ず自分のベースラインと比較し、長期的な傾向を見ることをお勧めします。睡眠タブの週/月ページでは、呼吸数のトレンドを確認することができます。

 

7. 留意事項

 

PPGによる呼吸数の測定は、異なる夜間の測定値を比較するのに適した方法です。 多くの人は夜間に容易に呼吸数を測定することができますが、呼吸の状態によっては夜間の信号の一部が乱れることがあります。ほとんどの場合、これはデータの精度に大きな影響を与えませんが、注意が必要です。 たとえば、睡眠時無呼吸症候群の人の場合、心臓は通常の呼吸に伴う洞性不整脈のパターン(息を吸う時に速く、息を吐く時に遅く)で拍動し続ける可能性があります。